今年3月、ドイツのECM
レーベルよりアルバムがリリースされたスイスのユニット "Ronin" はそのジャンルを超えたアプローチと演奏により、本国はもとよりドイツでのリリース・ツアーで大絶賛をもって迎えられた。
Roninは自らを「リチュアル・グルーヴ・ミュージック」という形容で語る。あたかも、きっちりとし、明確なスタイルと目的、それを可能にする鍛錬された技術の集合体としての「儀礼」を見るかのようなライヴ演奏は、連続する音のつながりを全体的なメッセージとして、脈動するグルーヴ感の上に漂わせる。洗練されたリズムに刻みつけられた空間は原始的なトランス感覚を現代に蘇らせる。
もともとクラシックやジャズを勉強し、このユニークな形態へと至ったニック・ベルチュは能をはじめとする熱心な日本の古典芸能や精神の信奉者であり、それを体現すべく「精進」を重ねている。しかしだからといって単なる東洋趣味的アプローチに陥るといった愚をおかすことはしない。むしろ、西洋の研ぎ澄まされた技術と品性をもって、東洋の精神を汲み取り、それを音楽へと昇華しているのだ。ECM
の創設者であり、名プロデューサーであるマンフレッド・アイヒャーの目にとまることとなったのは当然といえよう。
今回がRoninの初来日公演となる。
ピアノ ニック・ベルチュ (Nik Baertsch)
ドラム カスパー・ラスト (Kaspar Rast)
ベース ビョルン・マイヤー (Bjoern Meyer) |