■ Phil Miller (フィル・ミラー) In Cahoots (イン・カフーツ)公演
イギリスでジャズ、ジャズロック系ギタリストとして長いキャリアをもつフィル・ミラー(Phil Miller)がバンド「イン・カフーツ(In Cahoots)」を連れて来日する。セクステットでの公演は久しぶりだ。
バンドの結成は1982 年だから、もう20年以上も続いていることになる。これにはフィルのリーダーシップはもとより、バックを務めるミュージシャンに恵まれたことも大きい。ハットフィールド・アンド・ザ・ノース(Hatfield
and the North) のドラマーでもあったピップ・パイル(Pip Pyle)や「サクセロ」(カーブド・ソプラノ・サックスの老舗ブランドの名前)を吹いた今は亡きエルトン・ディーン(Elton
Dean)、フィルとのデュオでも活躍するフレッド・ベーカー(Fred Baker)、ソフト・マシーンで有名なヒュー・ホッパー (Hugh Hopper
)など多才なミュージシャンが支えてきた。天賦の声で魅了するリチャード・シンクレア(Richard Sinclair) も初期のメンバーの一人だった。
フィル・ミラーは独学でギターを学び、1960年代に最初のバンド「デリバリー(Delivery)」を結成、早くもロンドンの有名ジャズクラブでキース・ジャレットやトニー・ウィリアムスのカバーをする他、自分で曲も作り出している。その後、ほとんどインプロだけを演奏する「DC & The
MB's("ダイブル/コックスヒルとミラー兄弟"の略)」というバンドを 経て、ソフト・マシーンを脱退したロバート・ワイアット(Robert
Wyatt)のマッチング・モール (Matching Mole) に加入した。ここではデイヴ・シンクレア(Dave Sinclair)がメンバーの一人だった。そして1972年、再びデリバリーを結成、それが最終的にはデイヴ・スチュワート
(Dave Stewart)を加えてハットフィールド・アンド・ザ・ノースとなっていく。だが、これも解散、次にはナショナル・ヘルス(National
Health)が結成される。こうみるとフィルの歴史はまさにカンタベリー系の主軸の一つと言っていい。
今回の来日公演はイン・カフーツの新作アルバム(これにはデイヴ・スチュワートも参加)の発表を機に行われるが、当日はライヴ・アルバム製作のための録音も予定されている。新旧取り混ぜた多彩な曲が披露される。メンバーは以下の通り。
Phil Miller (フィル・ミラー) |
ギター |
Fred Baker (フレッド・ベーカー) |
ベース、ギター |
Pete Lemer (ピート・レマー) |
キーボード |
Simon Finch (サイモン・フィンチ) |
トランペット、フリューゲルホルン |
Simon Picard (サイモン・ピカード) |
テナー・サックス |
Mark
Fletcher (マーク・フレッチャー) |
ドラム |

Phil Miller (フィル・ミラー)、 Fred Baker (フレッド・ベーカー)、 Pete Lemer (ピート・レマー)

Simon Finch (サイモン・フィンチ)、 Simon Picard (サイモン・ピカード)、 Mark
Fletcher (マーク・フレッチャー)
フレッド・ベーカーはソフト・マシーンのリック・サンダース(Ric Sanders)とジョン・エサリッジ(John Etheridge)
が結成した The John Etheridge/RicSanders Band を皮
切りに音楽活動に入った。その後自分のバンドを結成したり、エルトン・ディーン(Elton
Dean)/John Etheridge Quartet に加入し幅を広げてきたが、In Cahoots のパーマネント・メンバーとなってからはずっとフィル・ミラーを支えてきた。現在はプロのミュージシャンとして活躍するかたわら、バーミンガム音楽院でジャズとプログレッシヴ音楽を教えている。
ピート・レマーは 1960年代初めよりイギリスのジャズ・シーンで活躍、ギルガメッシュ(Gilgamesh)やPierre Moerlen のゴング、マイク・オールドフィールド、バーバラ・トンプソン
(Barbara Thompson), アネット・ピーコック(Annette Peacock), ベーカー・ガーヴィッツ・アーミー(Baker-Gurvitz
Army),セブンス・ウエイヴ(Seventh Wave), などで演奏してきた。
サイモン・フィンチは、NYJO, ジョン・エサリッジのザッパティスタス(Zappatistas),
デレク・ナッシュ(Derek Nash), ザ・サード・カラー(TheThird Colour), BBC
Big Bandに参加してきた。
サイモン・ピカードはロンドン・ジャズ・コンポーザース・オーケストラ(London
Jazz Composers Orchestra), エルトン・ディーンのサキソフォーン・アンリミテッド(Saxophones Unlimited),
ヴェリアン・ウエストン(Veryan Weston) ,Trevor
Watts Moire Music, Paul Dunmall, ポール・ロジャース(Paul Rogers), アレックス・マグワイヤー(Alex
Maguire), ヒュー・ホッパー等と演奏している。
マーク・フレッチャーはロンドンの有名なジャズ・ライヴハウス「ロニー・スコッツ」の名前にもなっているロニー・スコット・バンドのメンバーでもあった他、ジョン・エサリッジとも長い間一緒に演奏をしている。また、ビル・ブルッフォードのEarthworksで相棒を務めている
ティム・ガーランド(Tim Garland)ともケルティック・ジャズ的なバンドで一緒であった。今、イギリスで最も人気のあるジャズ・ドラマーの一人だ。フレッド・ベーカーとともにデイヴ・シンクレアのソロ・アルバムにも参加している。 |