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Kluster TU  Kimmo Pohjonen, Samuli Kosminen,Trey Gunn, Pat Mastelotto (from King Crimson)
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以下、Kluster TU 公演にご来場いただいたお客様のサイトより許可を得て転載


Kluster TU
2004.4.10(Sat) at shibuya eggman

Kluster:Kimmo Pohjonen (accordion, vox, effects),
Samuli Kosminen (accordion samples and vox samples via electronic percussion)
TU:Pat Mastelotto(traps and buttons ),
Trey Gunn(Warr Guitar)

2年くらい前、初めてキンモ・ポホヨネンの"Kielo"を聴き、その演奏に衝撃を受けた。あんな風にアコーディオンを演奏する人を私は初めて知った。その頃から、どうやって演奏しているのかいつかこの目で見たい、と思っていたのだけれど、それが今回、東京とヘルシンキのみのSpecial Projectで実現することになった。キンモのグループ、Klusterはキンモとその演奏をサンプリングしたり、ターンテープル(のようなもの?)でエレクトリックなパーカッション効果を作り出すサムリ・コスミネンの2人。
TUは現キング・クリムゾンのパット・マステロットと元クリムゾンのトレイ・ガンの二人。私は、クリムゾンってまだ活動しているの〜、というレベルの認識しかなくて、クリムゾンといえばいまだにグレッグ・レイク熱唱の「エピタフ」がベスト、と思っている(笑われそう…)。

eggmanの昼の部。100人超えるくらいの観客がいただろうか。私は蛇腹楽器の前の最前列に座ることができた。はじめは前座の日比谷カタンさんのアコースティックギター弾き語りの演奏。網タイツはいているし、金髪のボブだし、パワフルなプレイの女性と思いきや、実はニューハーフの方! ラルフ・タウナーと押尾コータローをミックスしたような演奏スタイルでヴィラ=ロボスのエチュード風オリジナルを弾きながら、椎名林檎ばりの退廃的ヴォーカルを聴かせてくれる、なかなかユニークな方だった。でも演奏テクはかなりのものと見た。自主制作のCDも出しているとのこと。

引き続き、Kluster TU登場。KimmoとSamuliは当初の予告にあったとおり、蛇腹をイメージさせるような何枚はぎかのロングのフレアースカートをはいて出てきた。Kimmoは足下に並ぶ20種類くらいはありそうなエフェクター類を操作するたびに、スカートの下に黒のショートブーツをはいているのが見える。二人ともとてもそのスタイルがさまになっていて、ものすごくカッコイイ!PatとTreyは他2名に比べると年長だと思うが、ややファッショナブルさに欠けたかな?

演奏は、初めからどんどん飛ばしていく。もう、圧倒的にキンモの演奏がすごい。彼のヴォイスも演奏もコスミネンによって即座にサンプリングされ、ループとなって延々と鳴り続ける。パットのパワフルなドラムワークはさすがロックの人!ドラムスもサンプリングしてループがかかっているし、ベースギターのトレイもループかサンプリングか、パソコンを傍らに置き、時々操作している。でも、エレクトリックだからといって、決して冷たい音でないのは、アコーディオンという楽器の音の持つ暖かさやぬくもりのせいだろうか。キンモはソロの部分になると、椅子から立ち上がって激しく体をゆさぶるので、フレアースカートがひらひらゆれる。パットと顔を見合わせてニッコリ笑いながら実に楽しげに演奏している。この音楽を何と形容したらいいのだろう。私は、クラブ系プログレ、というのが近いかナ、と思う。フィンランドのお家芸、プログレッシブ・ロックがトラディショナルやクラブ・ミュージックとリンクして進んだひとつの形なのかも知れない。そして、エレクトリック機器かアコースティック楽器かの違いがあっても、演奏のスタンスはわりとフリー・インプロヴィゼイションに近いものがある、と感じたのは私自身、今回の新しい発見でもあった。隣の女性ははじめから最後までトランス状態!?終了後も呆然とステージ横に立ち尽くしていた。わかる気がする。

いやはや、本当にすごいものを聴く機会を得て、私は幸運だった。Office Ohsawa様、ユニークな企画に敬意を表します。Kimmoの"Kielo"を聴いた当時、私は「このミュージシャンはこれから何処へ行こうというのだろう?」とレビューに書いたけれど、Samuli Kosminenというパートナーを得たことによってこういう方向に来たことがはっきりした。でも、できることなら、"Kielo"で聴かせてくれたような、蛇腹楽器の超絶テクニックを見せつけるようなすごいソロ演奏も聴きたかった、と思う私は欲張りだろうか。ソロプロジェクトやあのクロノス・カルテットとのコラボレーションも同時進行しているようなので、次はそのあたりを期待したいものだ。いまだにあの演奏の強烈な印象がさめやらない状態である。(April 10, 2004 by J.Y.)


先日の来日公演ですっかりKlusterにKOされてしまった。こんなにはまったのは平井堅の"gaining through losing"以来かなぁ(苦笑)。自称ジャズ周辺リスナーの私でも、普段頻繁に聴いているとは言えない種類の音楽に魂まで吸い取られてしまいそうになるほど魅せられるときが確かにあるものだ。Kluster TUの今回のライブを聴かなければ絶対こうはならなかった。これはミュージシャンのエネルギーが聴衆にダイレクトに伝わり、またそういう聴衆の反応がミュージシャンに伝わるという、ライブならではの相乗効果の結果だと思う。
本作はSamuli Kosminenの参加により、ソロアルバム"Kielo"に比べると、トラディショナル色、アヴァンギャルド色は薄くなり、プログレやクラブミュージック色が濃い感じがする。ライブでも演奏されていた曲が多い。私はtrack 1,4,7が気に入っている。でも、これらがどのように演奏されるのかを見た今は、見る前とは全然感じ方が違っている。私はKluster,特にKimmoの活動の根底にあるのは、音楽だけでなくヴィジュアル面も含めたトータルな表現者として自分を見て欲しいということだと思う。そういう意味で是非、Kimmoの演奏する姿のヴィデオクリップを彼のオフィシャルサイトで見て欲しい。"Keko"のライブ映像は何度見てもゾクゾクする。特にラストは圧巻。アコーディオン音楽でも、Richard Gallianoがフランスの音を体現しているのと同様、フィンランドに彼が現れたことは必然と思える。(April 15, 2004 J.Y.)


Kluster TU

キング・クリムゾン絡みリズム・セクションと、アコーディオン(ボタン式)奏者、そしてサンプラー音担当者(なんか、ターンテーブルみたいな形の装置を用いる)による、インスト主体の4人組。アコーディオン奏者以外の3人は横にアップルのラップトップ・コンピューターを置く。アコーディオン奏者も足元にはエフェクターがずらり。

お、おもしろい。トレイ・ガンは10弦のスティックを使用。ドラマーのパット・マステロットもときに普通じゃない使い方も見せたりもするし、他の二人は扱う楽器自体が通常のロック楽器ではないし、本当に見ていて飽きない。もうキョロキョロ、ステージを見ちゃいました。加工ヴォイスもときに担当するアコーディオン奏者は髪形や恰好まで風情ある興味深いもので、なんかいいなあ、ああいうの。やっぱ、芸(術)の道を思うまま進んでいるんだから普通の恰好してたってしょうがないじゃん、っていう意思あふれる? ぼーっとした曲には少し飽きる部分もあったけど、ふむふむと頷きながら見てしまいました。

会場後方にもスピーカーを配し、後ろからも音が露骨に聞こえる局面もあったりして、それもときに効果的。とかなんとか、俺たちはこうする、みたいなところが横溢していた、大人のロック・ビヨンド表現を展開。渋谷・エッグマン。  (佐藤英輔)