2006年8月29日
ごきげんよう。
これまでの2006年中、〜公的には〜とても静かにしていたのが奇妙に見えたかもしれない。
プライベート(そして若干の公演)において、私はとんでもない大騒ぎをしていたが、もちろんそんな証拠は本年中今のところほとんど外には出てきていない。
けれども、これからの数ヶ月間は最新作から古いがいいものまでリリースの嵐だ。
また、秋が来たらもう一度ツアーでステージを踏む。
そういうことで、このニューズレターは、いろいろな物事の到来をなぞることとなる。そして、後々もっと出てくる…。
とかくするうちに、それではまた。いつも聴いてくれてありがとう。
PETER HAMMILL
古いものについて、新しいものについて…
突然私は半年が過ぎてしまったことに気が付いた。残念だが、皆さんに伝えるべき価値のあるものがほとんどなかったため、大部分の間、私はスタジオ内に埋もれていて、現実やインターネットの世界にほとんど姿を現していなかった。2006年の後半にそれは全部変わることとなる。
『Varacious』について少しばかり述べることで始めよう。Fie!からの最も新しいリリースで、疑うことをしない世界へと今年抜け出してきたものだ。これは、もちろん、スチュアート・"フーリー"・ゴードンと私とがステージの上で行ってきた極限(のいくつか)を記録したものだ。私は過去数年間にわたって、他のどんなフォーマットよりも数多くのライブをスチュアートとのデュオとして行ってきた。そして、そうすることがいつも喜びだった。また、たいてい、私たち両方にとって音楽的な驚きがいくつかあった。私たちは今では、自然に、いかなる瞬間においても相手がどこへ向かおうとしているのか、かなりよくわかっている。また、アレンジの基本的な構造に大いなる柔軟性と冒険が組み込まれている。今では多くの曲を共通レパートリーとして抱えている。そのうちのいくつかについては、いつもちょっとばかり震えながらやっているのだけれどね、少なくとも歌い手のパートは。
いずれにせよ、昨年はこの演奏のいくつかをアルバムの形にまとめるのに間違いなく適切な時期のように思えた。私たちが長年やってきたことを祝う意味で、そして、ソロ/デュオのパフォーマンスが再結集したVdGG
-- 少なくとも「時々」というベースではだが -- を含んでいる世界においても現在進行中であることを少しばかりだが示すという意味でも。
いつものように、わたしはまだ、ライブ・パフォーマンスの真の意味は、まさしくここ、まさしく今、特定の部屋で特定の人がステージと聴衆の中にいて起きるものだという考えを持ち続けている。どのような録音も出来事それ自体ではなく、むしろその記録だ。よって、Hooly
との公演がどういうものであるかの「完全なる真実」が"Veracious" だというふりはしない。しかしながら、ライヴ録音が、「エンタテインメント」に気づきを与えたり、より考え抜かれ、コントロールされたスタジオ録音とは違うものにする多くの炎と法則を含んでいることは明確だ。誰も、そのどちらかとかその中間とかを選ぶ必要はない。実際、私にとっては音楽を作るためにバランスをとるのに両方とも必要だから、幾つかの点で相反してはいるが、両方を火中の鉄としておくことが重要だ。
決定版としてではなく、『Veracious』は少なくともスチュアートとのデュオ公演の主たる要素をたしかに捉えている。元となった3つのパフォーマンスは、それぞれ少なからぬ時間と距離と主観的な経験によって隔てられている。これも、また、現在進行中のゲームの一部分なのだ。曲のCD収録順を考えている間に、過去にライブ録音された(ソロであろうとグループであろうと)楽曲で今でもライヴの定番となっている曲がいくつもあることに気が付いた。
私はCDにまとめる時にそれらを外すことに決めた。たとえ、私たちのデュオ・バージョンが以前リリースされたものから相当異なっていたとしてもだ。そのかわり、私たちは何年もの間、定常的に新しい楽曲を自分たちのレパートリーに加えてきたのだから、アルバムをほとんどすべてオリジナル・スタジオ・バージョンとしてのみ世に出た楽曲によって構成しようと考えた。当然、それらは私たちがなってしまった『フォーク・デュオ』からは、かなり遠く離れたものである…。私にアラン・セーターをくれ、ディア・ボーイ!
*訳注:アラン・セーター:スコットランド南西部のアラン島でリン・ロス(Lynn Ross)によってデザインされたセーター。最初は漁師たちに好まれ、その後世界各地に広まった。
当然ながら、私は今年5月にスチュアートと短いツアーに再び出かけられてとても嬉しかった。最後の公演からずいぶんと長いギャップがあった。というのも、Van
der Graafがその前の期間の私のツアー時間のほとんどを明らかにとってしまっていたからだ。結局、ドイツで例のワールド・カップがあり、うまく日程が調整できず私たちはほんの数公演しかできなかったが。とはいえ、幸いなことに、デュオ公演は、英国での日程(そう!ツアーだ!)を来る10月に、欧州を11月に、ということで続けられる(OK、イギリスは欧州の一部だというのは「分かっている」…私の趣旨がわかるよね?)日程は「ツアー」のページにアップしている。
ところで、言ったように、私は今年の1月から次の真正ソロ・アルバムに取り組んできた。残りのリミックス/最後のオーバーダブ/最後のパニック、あるいは、曲順の並び替えを除けば、数日前の時点で、それはとうとう仕上がった。11月の早い頃か、ことによると10月遅くにもリリースされるだろう。まだタイトルは決まっていない(「ほとんど」決めてしまってはいるが)。一方、カバーはもちろんまだデザインされていない。それは、この段階ではアルバムとしては普通のことだ。それが正真正銘のソロ作品であるという以外に現時点でこれ以上言うつもりはない。
新しい録音とは別に、私はこのところ沢山のリマスタリングを行っている。まず最初に、作り直された最新のFie! カタログは、わずかに『Patience』と『Fireships』だけだが、在庫ができた。両方とも、完全にリマスターされ、(もちろん、ポール・リダウトによって)カバーが作り直されている。ともにしばらくの間在庫切れになっていた。なぜかといえば、部分的には、オリジナルを製作した会社が今私たちが使っている会社(訳注:Fie!のこと)とは違う会社で、オーディオとアートワークのオリジナル・マスターが両方とももはや手に入らないからだ。従って、再プレスを少しでもやるためには、最初からはじめる必要があった。単に複製しクローンを作るというよりも、いろいろアップデートするというまじめな仕事をすべきときだと思われた。つまり、これはマーケティングや再販といった動機によって始められたのではなく、必要性から生まれた仕事なのだ。
これら二つのアルバムは、それらが登場した時点で私のキャリアにおいて異なるポイントにおける私の発展においてきわめて重要なものである。『Fireships』は、結局、Fie!レコーズに現れた最初の新しい録音となった。それはまた、私が続けている作曲とアレンジの姿勢という観点からもきわめて重要なものであった。『Patience』は、楽曲のコレクションとしてはおそらく、ライブ・パフォーマンスにおいて私が何度も何度も使うことになる時代の流れに耐える楽曲を含んでいるという観点から、唯一『Sitting
Targets』に匹敵するものである。
リマスター制作に話を移すと…VdGGの全作品(実に『Fool's Mate』も)のリリースに引き続いて、ヴァージンは権利をもっているその後の8枚のソロ・アルバムを出すことを決定した。私は机にかじりついて、それらをきちんとさせ、こすり、磨き、光らせ、出来うる限り最高に見えるよう一生懸命働いていたのだ。これらのうち初期のCDはどうみても、はっきり変な音がしていて、音響的な意味で対応するのが大変だった。しかし、それらはすべてそれなりの魅力があり、もちろん素晴らしい内容をもっている。
最初に出てくる4作品は『カメレオン』、『サイレント・コーナー』、『イン・カメラ』と『ネイディア』だ。それらは9月になる予定だ。『オーバー』、『ザ・フューチャー・ナウ』、『pH7』、『ア・ブラック・ボックス』がそれらに続く。変わったエクストラ・トラックがある。BBCテープあるいは(VdGGリリースと同様に)海賊盤から採録されているもので、『ネイディア』と『ア・ブラック・ボックス』以外のすべてのCDに収録されている。この2枚は、オリジナルの形のままだ。これら2作品に何かを付け加えるのは正しいことのようには思えなかったのだ。私はライナーノーツのようなものをすべてのリリース用に書いた。そしてまた、それらについてより多くのことを後で(だがそんなに遅くではなく)今年二つ目のニューズレターに書くつもりだ。
ヴァージンのいくつかのソロCDが現時点では除かれたままになっている。彼らは今回の8作がどのような売れ行きを示すのかを見定めた上で残りをリマスターするかどうかを決めようとしている。それは私にとっても十分フェアにみえる。だが、もちろん出来るだけ多くの人たちが今回のリマスターを自分自身のために買ってくれ、またそれにより全カタログがもう一度入手可能な(そしてきちんとした形になった)状態になることの両方に興味がある。宣伝メッセージはこれで終わりだ。
おぉそうだ。私はもっと沢山の『アーティスツ・ノート』をそれらのアルバムのすべてとはいかないまでもいくつかについて、近い将来掲載したいと考えている。皆さんの何人かが、この点について私がぐずぐずしているのを嘆いていたので率直に謝っておく。いや、少しばかり遠慮がちにだが。私はいつも、何かしら新しいことをやりたいのだ。過去について長々と話したり、コメントしたり(あるいはリマスターしたりですら)するよりも…。
このニューズレターの大部分は『すべてがはっきりしたら知らせる』類のもので出来ているように思える。でも、『すぐにやってくる』発射台上の別のアイテムは…ザ・デジタル・ダウンロードだ。じきに、ついに私の最近のアルバムが〜徐々にではあるが〜オンラインで入手できるようになろうとしている。マウス・ボタンのタッチと仮想クレジットカードのフラッシュであなたのものとなる最初の二つのFie!からのリリースは、『Patience』と『Fireships』だ。それらはほとんどのフォーマットで、かつ多くの「店」で、きわめて近い将来入手可能になる「はず」だ。それらを提供するサービスについて更なる情報を得次第、ザ・レイテスト・ニュースのセクションに…あるいは、たぶん、専用のページ上に、アップしよう。
最後に、そうだ。VdGGがライブの天空を横切った昨年の道程についての聴覚的/視覚的証拠は具体的かつ合法的な形で、もうすぐ入手可能になるだろう。CD(ロイヤル・フェスティヴァル・ホール)とDVD(レバークーゼン)だ。私たちはいくつかの会社と100年にも思えるような話し合いを行ってきた。〜望むらくだが〜すべては結論が出るところまで今や来ている。それ以上にあえて何を言う?多分、この段階では言えば運命の虜になるだけだ。
おしまいに、VdGGでやっている間に、私はいくつかの明らかにつじつまの合わない噂と発言が広がっているのに気が付いている。この段階で私に言えるのは、すべての公式な発言は、その内的な論理においてずっと真実で一貫している、ということだけだ。このスペースを見ていてくれ。 |